「蓮」は数千年も前から日本に存在していたって知っていましたか?
多くのファンを持つ蓮。日本でも長い年月にわたって人々を魅了してきました。
今回は長い歴史の中で、「蓮」が日本の社会とどう関わってきたのか見てみます。
目次
深い歴史を持つ蓮
水辺に咲く大輪の美しい花が印象的な蓮は、実はとても歴史の深い植物です。
その歴史の深さは、世界では一億年以上も昔の蓮の葉の化石が発見されているほど。
日本でも、数千万年も昔の蓮の葉の化石が国内あちこちの都道府県で発見されているほど、古くから存在する植物です。
これほど昔から日本に生育する蓮は、数ある植物の中でも日本においてとくに歴史的な文化のある植物で、大切に扱われてきた植物です。
分かりやすい歴史的な側面では仏教との関わりがあり、仏様が座る蓮華座のモチーフや、お経に含まれる南無妙法蓮華経というフレーズなど、古くから存在する日本の文化や伝統に蓮が多く結びついていることは皆さんご存知かと思います。
蓮は、それ以外にも私たちが普段は目に触れることのない場所で、歴史的な役割を果たしてきました。
織物の素材としての蓮
「蓮」と聞いた時に、現代を生きる私たちにとって身近で最初に思い付くのは、日本庭園の池などで美しく咲き誇る観賞用の蓮の花、あるいは私たちの家庭の食卓に並ぶ美味しい蓮根ではないでしょうか。
そんな蓮ですが大昔は、意外にも織物の素材として、重宝されていたのです。
蓮は、茎を折って引き伸ばすととても細い繊維を採ることができ、それを使って糸にします。
その蓮から出た繊維で作られた糸は蓮糸と言い、一つの品物を作るのに数十万本もの蓮の茎を使うため、大変に貴重な織物の素材として用いられるようになりました。
それほど貴重な蓮糸で作られた織物は、非常に高貴な身分の方の衣装や神聖な場面に向けて利用されるようになりました。
蓮の織物の歴史
文献マハーバーラタの一節に「蓮根、蓮糸を売る」という文章があります。
これにより、世界では蓮から出来た糸を使った織物が紀元前四世紀頃から存在することが分かります。
私たちの暮らす日本における蓮の織物の歴史は、日本書記に記されています。
622年(推古朝31年)に新羅より達率奈未智が来朝した際に、蓮糸で織った「都卒曼荼羅」を献じたと記されているのが、日本における蓮糸にまつわる最古の歴史です。
その頃を含め、古くに作られた歴史的な蓮糸の織物は、日本にまだ現存しており、国内のほんの数ヵ所の寺社仏閣に所蔵され、貴重な歴史の資料として私たちも見ることが出来ます。
歴史を知ることで、現代まで繋がる蓮糸の魅力をさらに感じることが出来るかもしれません。
まとめ
いかがでしょうか。
長い歴史の中で私たちの関わってきた蓮。
歴史を知ると「蓮」のことをもっと好きになってしまいますよね。
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